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伊集院静「無頼のススメ」レビュー「自分で打ち止め」

「なんだか堂々巡りの人生で嫌だからなんとかしたい、と思うなら無頼という生き方がある」
という言葉で本書は始まる。
「無頼」という言葉には馴染みが薄い。
それはなにか漫画やフィクションの主人公のキャッチコピーで使われるもので、現実の人間の生き方としての「無頼」というものがしっくりこない。
それもそのはずで、僕らは生きたサンプルとしての「無頼漢」に巡りあうチャンスがなかなかない。
だから、最後の無頼派といわれる伊集院静の語る言葉は貴重だ。
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萩本欽一「続 ダメなときほど運はたまる」レビュー「遠くやさしく」

ロングセラー「ダメなときほど運はたまる」シリーズの第三作。
ドライなほど「運」原理主義者ぶりを発揮していた第一作と打って変わって、本作はじんわりあたたかく、僕らが持っている欽ちゃんのイメージどおり。

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糸井重里「インターネット的」レビュー「そしてTumblr」

インターネットと言う言葉がなんだか懐かしくって、思わず手にとった。
インターネットと言う言葉には、なんだか自由で開放的で可能性を感じる響きがあった。
そして2001年に書かれた本書は、しがらんだセケンをブレイク・スルーしようという思考とその希望に満ちている。
しかし、今ではインターネットもネットと縮めて軽く扱われ、ただただリアルなセケンを効率よく拡大するための土管に過ぎないとの軽い失望感がある。
何故日本人をジャップと縮めて呼ぶことが蔑称になるのかが、僕にはイマイチわからなかったが、インターネットがネットと縮められている様に、そのニュアンスが肌で感じ取れる。

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ちきりん『「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記』レビュー「よう考えてはるなぁ…」

月間220万PVという、僕には想像もできないような数字をたたき出している社会派ブロガー「ちきりん」さんの本。
情弱ではないという自負はあったのに、僕は彼女のことを全くほとんど知らなかった。
言われてみれば、Tumblrのダッシュボードにここからの引用が時々リブログされていたなぁ…という程度の認識。
だから、書店でたまたま本書と目が合った時にも、たいして考えずに手にとった。
「月間220万PVって、どんなことしてんの?」
程度の興味で。 Read More

矢作俊彦「フィルムノワール/黒色影片」発売2週間前にやっと表紙が完成!

フリーの警官「二村永爾」が10年ぶりに新作で復活!

二村永爾シリーズ、十年ぶり復活! 舞台は香港、幻の映画フィルムをめぐり次々と起きる殺人事件。日活映画百年記念、宍戸錠も登場!

神奈川県警の「二村永爾」がどんな依頼で香港に出向くのか?
我らが「エースのジョー」とどんな絡みを見せるのか?
ひところの逃亡者のメッカである香港という土地と、日活映画のテイスト。

楽しみに待つ要素は数多い。

そしてさらにもうひとつ。

今回の表紙を担当したのが巨匠「江口寿史」

「さまよう薔薇のように」以来のタッグだろうか。
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「愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない」伊集院静 レビュー「作家の氷」

苦い話を、なんでわざわざ読もうとするのだろう?

どうしてわざわざ金を払ってまで、人様の苦い話を読もうとするのだろう。
苦い話なら、自前で千夜を超すほど抱えてる。
全国に支店展開して売るほどに抱えているというのにだ。
理由も動機もわからぬまま、いつだってこの人の書いたものを一気に読み上げてしまう。

この話は、「なぎさホテル」のちょっと後、「いねむり先生」の時期を挟んで語られる伊集院静の自伝的小説。 Read More

「minimalism ~30歳からはじめるミニマル・ライフ」レビュー「Less is Moreの人生を!」

ブログテーマを選ぶときには、やれミニマルだシンプルだと騒いでいるくせに、生き方自体はまったく整理できていない。
このままでは、Less is Moreな美しい人生どころか、我らが高倉健が呟いたSimple Lifeにも程遠い。
なんとかしなければ、いや、もうどうにもならないのか…
そんな焦りと諦めが混在する中で、本書と書店で目が合った。

著者のジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマスの二人は、ザ・ミニマリスツを結成し「Theminimalists.com」でエッセイを書いている。
アメリカでは様々なメディアに取り上げられ、人気サイトであるらしい。
本書は、その中からピックアップされた29本の記事により構成されている。 Read More

腸にも脳がある?!えっ、腸って感情を持っているの?!そしてGoogleは全体の0.004%?!

tumblr のおかげで、ばったりとこういうネタに巡り会える。
いや、ネタと言っては失礼だ。
これはニュースであり、なにより研究結果なのだから。 Read More

「いねむり先生」伊集院静 レビュー 「やさしいロードムービー」

その人が
眠むっているところを見かけたら
どうか やさしくしてほしい
その人は ボクらの大切な先生だから

この序文が、この物語の「あたたかな」温度と「こまやかさ」を端的に物語っている。
「なぎさホテル」の人々との出会いによって再生し、新しい伴侶とともに始まった生活は、わずか二百日で死別というカタチで終わる。
ボロボロになった主人公と、誰からも愛されるチャーミングさをもつ先生。

この二人のロードムービーのような物語だ。 Read More

「なぎさホテル」伊集院静 レビュー 「誰かさんの救い」

「人は悲しみとともに歩むものだが、決して悲嘆するようなことばかりではない」

というプロローグで物語が始まる。

今の、壊れてしまった東京の暮らしを捨て去る前に、海だけは見ていこうとふらりと逗子に立ち寄った筆者と、そこで出会った人々とその中心に位置するホテルについて語られる物語だ。

縁もゆかりもない、どう見てもまともに金が払えなさそうな若者を、本当の家族のように、いや、本当の家族以上に受容してくれるホテルの人々。
宿泊料金の支払いを待ってくれるどころか、金まで貸して旅行に行くことすら勧めてくれる。
そんな人々と筆者の7年間に及ぶ物語が綴られている。

もしあなたが、現在「うまくいっている」のなら伊集院静という一人の作家が世に出るまでのストーリーとして楽しめるだろう。
しかし、もしあなたが「失意の中」にいるのであれば、とても客観的に読み進むことは出来ない。 Read More