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「伝える力」「伝える力2」 池上彰 レビュー 「知らない自覚」

何故この人の説明がわかりやすいのか 理由は3つある。

一つ目は「自分がいかに物事を知らないか」という謙虚さ。
二つ目は「まったく知らない人に説明するにはどうしたよいか」という姿勢。
三つ目は「知ること」自体を楽しんでいること。

知らない自分が人に伝えるためには、しっかりと理解する準備が欠かせない。
部分も全体も理解を深める事により、拡大も縮小も自在な話の地図をつくり上げることが出来る。
知らない人に伝えるために、地図全体を広げながら、「今はココ」と部分的に拡大しながら噛み砕いて伝えることが出来る。
前向きな好奇心に裏付けされたワクワク感が説明全体に溢れている。

逆の人を引き合いに出すとわかりやすいかもしれない。

自分は大概の事は知っているという過信。
「わかってるだろ?」が前提の姿勢。
「こんなの知っててもなあ」というつまらなさ

ぼんやりとしたイメージしか持っていない人間が、「こんなことも知らないのか」という姿勢で退屈な説明を続ける。
聞いている方は「わからない」が言えず、勇気を持って質問すると「そんなものジョーシキですよ」と大きな塊のまんまのイメージを押し付けられるだけ。
その塊は一切噛み砕かれることはなく、ふわふわとそのあたりを漂うだけ。
地図だか落書きだかよくわからないイメージの中で、それが全体なのか一部分なのかもわからず迷路の中に迷い込む。
わかったつもりの見栄を捨てられない両者は、コミュニケーションにおいて遭難するしかない。

僕らは何もわかっていない。
大量の情報を卸問屋のように右から左に動かしながら、理解していないがためにメーカーになることは出来ない。
これだけインターネットの恩恵を受けながら、いまだにFAXがなぜ送信できるのかを理解していない僕は、たとえ過去にタイムスリップしたとしても現在のテクノロジーの歴史を一ミリも変えることはないだろう。
だから、何もわかっていないという自覚を持てることが、この本を読む最大の収穫である。
だって、あの博識の筆者さえ、そこからスタートしているのだから。

「わかったつもり」を捨て、サラの目でセカイを見つめなおす。
そうしなければ、新聞の見出しやニュースの編集具合にまたも振り回され、地図の見えないセカイで遭難し続けることになるのだから。

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「タフでクールで そしてヒューマンタッチ」Reblogger in Tokyo

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